orenancaのこつこつブログ

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【書評】幸せな選択、不幸な選択 ポールドーラン著

要約しアウトプットすることで内容を復習できるし、後から見返すこともできるし、なにより皆様にオススメしたい素晴らしい本だったので、初めて書評を書いてみることにする。なにせ慣れていないもので読みにくいかと思うが、何卒御容赦いただきたい。

 

「幸せな選択、不幸な選択 行動科学で最高の人生をデザインする   ポールドーラン著」

 

さて、この本の著者はポールドーラン。過去に経済学を研究していたが、行動科学(心理学や社会学などの総称)の研究に進む。そんな特殊な経歴を持つ彼は、行動科学初心者である我々の視点も持っているため、とても良い読み心地であった。

内容としては、「幸福」の定義から始まる。行動科学の世界では抽象的な幸福という尺度に無理やり具体性を付与するべく、幸福度という尺度を使って定量化している。しかし、ポールはその前提からしっかりと定義して論理を展開するため、読者としても飛躍なく読み進められる。

 

そして、気になる定義だが、私の言葉でまとめると「『快楽』と『やりがい』の最大化とバランス」である。究極を言えば、これがこの本のすべてだ。

快楽はそのままの意味、楽しさや快感などのことだ。やりがいとは少しイメージしにくいかもしれないが、こちらは具体例を列挙しよう。筋トレ、読書、通勤、家事、仕事、ボランティア、…これらの行為はやりがいが高い。なんとなくイメージして頂けただろうか。

あなたは、この快楽とやりがいというふたつの尺度によってあらゆる行動を評価できる。

例えば、ビールを飲んだりタバコを吸ったりしている時。快楽はこの上ないものだろうが、健康を害するという意味で、やりがいは低めである。

勉強をしている時。快楽を感じる人もいるだろうが、だいたいの人は楽しくないと感じるだろう。だが、皆すべからく、確実にやりがいは感じるはずだ。

野球をしている時。あなたが野球が大好きなら、やっていて楽しくて仕方がないだろう。さらに、適度な運動は健康にもいいから、やりがいも高い。ただ、部活などで無理やりやらされる野球では、快楽は低くなるかもしれない。

なんとなくわかって頂けただろうか。そして、我々が目指すべきは、出来るだけ不快感や虚無感を排除し、快楽とやりがいを高めることだ。

 

さらに、そのバランスにも気を配らなくてはならない。快楽ばかり追い求めては、自分の人生に虚無感を感じてしまう。やりがいばかり追い求めては、心がパンクしてしまうだろう。できる限り快楽とやりがいを最大化した上で、その均衡を保つことが重要なのだ。

周りの人々を注意深く観察すると、「快楽型」と「やりがい型」の2種の人間がいるはずだ。あなたは自分と逆の型の人と過ごす時間を増やすことで、バランスを調整できる。毎週末夜の街に繰り出す友達と行動を共にすれば、あなたの生活がどう変わっていくかは自明だろう。

 

これらが、ポールが定義する「幸福」である。その後、幸福度を高めるための個別具体的なテクニックや考え方が多数紹介される。実生活に基づいて書かれており今すぐ使えるテクニックもたくさんある。マルチタスキングやマインドフルネスなど、あなたが気になっているであろう心理学のことも諸々触れられており、行動科学の教科書、入門書と呼ぶにふさわしい。

300ページを超えておりややボリュームがある上、何分内容が抽象的なので若干読みにくいが、将来を幸福にしたい就活生などには特におすすめ。あらゆる行動に根拠を持つことは、有意義な時間を過ごすことに必ず繋がる。

 

あなたはこれからも、なんの「やりがい」も感じられないソシャゲにイライラして「不快感」を募らせたいだろうか。それとも、科学の知識を手に入れて自分の行動を変えて、最高の人生をデザインしたいだろうか。後者であれば、この本を読んでみてはいかがだろう。