orenancaのこつこつブログ

就活(特に化学、非鉄金属メーカー)、スーツなどの情報を配信。ショボイ記事ばっかですが、こつこつやっていきます。

【就活】化学メーカー事務系は最強!!!

企業選びって、難しい。

このブログは、就活も終盤に差し掛かった私による、これから就活を始めるあなたたちへのメッセージである。

社会人なんて親と学校の先生くらいしか知らない我々大学生にとって、業界を明確な根拠をもって絞ることは、非常に困難である。業界は無数にあるし、まずどんな業界があるのか知るのも一苦労。

もちろん、そんな就活生はあふれているのであって、業界を紹介する書籍なども多数出ている。しかし、それらは我々就活生の関心の本質とは程遠い部分を語る。残念ながら、あれらの書籍を参考にしたところで、あなたがたどり着くのは「実際に行ってみたらなんか違った」という悲しい現実に違いない。

なぜそんなことが起こるのかというと、就活生の関心は、企業側からは積極的に触れづらい部分にあるからである。企業は、「こんな人が活躍できる!」「こんな事業に携われる!」「こんな業務をできる!」といったものが中心になってくる。しかし、おそらくあなたたちがそれらの条件よりも重視する条件は、残業時間、休日、年収、転勤の有無、業務のぬるさ、社員の人柄(競争意識が高いのか、おっとり仲良くなのか)、就活における入社難易度などといったものではないだろうか。

40数年務める企業である。そういった条件が重視されるのは、至極当然だろう。しかし、企業側としても、それらの条件を前面に打ち出して集まってきた就活生は、楽をしたいだけの怠け者ばかりになってしまうのだから、あまり言いたがらない。

これは、化学メーカーでまったり仕事をしたいと願った私が、徹底的にリサーチして情報を集め、さらに就活をとおして大量の企業を見てきた上で、集めただけじゃもったいないので暇つぶしに共有するブログである。

できる限り客観的な情報を基にお届けしたいのだが、それはすなわち調べればわかる情報。多くの企業に足を運んだ私だからこそ分かる、主観的な情報も盛り込んでいきたい。しかし、それはネットにかかれた憶測に過ぎないということも併せて留意していただきたい。エッセンスとなる情報の真偽は、ご自身で調べて頂くことをお勧めする。

 

他業界との比較から見えてくる化学業界

さて、前置きが長くなり恐縮だが、化学メーカーを様々な観点から比較してみたい。

文系人気就職ランキングを見た感じ、サービス(ここでは旅行とする)、銀行、総合商社あたりが多そうだ。この辺と比較してみたいと思う。

*残業時間の比較方法としては、転職サイト「Vorkers」https://www.vorkers.com/を使用する。
知っている方も多いだろうが、一応説明しておこう。Vorkersは実際にその会社で働いたことのある社会人による投稿で成り立っている。レポート数も非常に多い。就活をするうえで大いに役立つサイトなので、ぜひご自身でも使ってみていただきたい。
ここでは、各業界についてレポート数順に並べ、上位10社の平均値を割り出して比較する。サンプルの抽出について違和感を覚える方は、ご自身でサンプルを決めてやってみるとよいだろう。ここでのサンプルの設定は、レポート数が多いということは最王手であり、業界の典型的な代表例といえるであろうという仮説に基づくものである。
*転勤については、数字のデータを出す方法を思いつかなかった。ネットで調べて、業界の常識のようなものをできる限り持ってきたつもりだが、抽象的であることについてはご留意いただきたい。
*採用人数は、リクナビで従業員数3000人以上に絞り、上に出てきた企業を対象に集計。

業界名 残業時間(月間平均h) 転勤の有無 採用人数(文系のみ)
化学 26.62 工場に2~3年行くことが多い 10~20が多く、40超はなし
旅行 35.6 少なめ? 大手なら500人超
銀行 29.62 不正防止のため多い メガバンクは1000超も
総合商社 35.45 国内なし、海外は必ずある 100~300程度

どうしてもサンプルの基準がぶれたり、明確なデータが得られなかったりする部分があり、信ぴょう性に疑問が残るところはあるが、ご容赦いただきたい。
こちらのチャートは参考程度にしていただくとして、私が言いたいのは、化学は比較的労働環境が良いが、狭き門であるということである。つまり、就活はなかなか内定が出ずしんどいが、通ってしまえばまったりとした人生が待っているということだ。たった一年頑張れば楽な40年が待っているのだから、頑張ろうということである。

ネットだけじゃ分からない化学メーカーのあれこれ

これまではネットで調べればわかることをつらつらと書いてきたわけだが(とはいえ調べるのめちゃくちゃ大変だった)、ここからは大量の化学企業に足を運び、大量の社員からぶっちゃけ話を聞いてきた私の、体感的な化学メーカーを紹介していきたい。

〈それなりに高給〉
年収ランキングではそれほど上位に名前を表さない化学。しかし、企業の平均年収は理系のラインで働く人たちの年収も含まれるため、高卒や高専卒の社員の年収もサンプルに含まれているのが実際のところ。事務系総合職に限ってみてみると、案外悪くない。前述のVorkersを見てもらえれば分かるが、出世すれば年収1000万も夢ではない。地味な業界だが、以外にも大台に乗ることが可能なのである。
また、給与体系も特徴的。そのほとんどが年功序列体系である。インキメーカーのDICは、化学では極めて珍しい、能力給の給与体系を敷いているとの情報もある。
高給を狙うなら、海外駐在は最たる方法だ。海外手当なるものが出て、うまくいけば年収が倍になる。住宅なども支給されるため、可処分所得は跳ね上がる。

〈むちゃくちゃな転勤はない〉
化学メーカーの大きな特徴は、東京・大阪・名古屋くらいにしか営業所がないため、事務職の転勤がそこまで多くないことである。中には東京と大阪のみ、東京のみなんてこともある。そういった地方都市なら、転勤のダメージも田舎に飛ばされるよりは少ないだろう。
一方で、やはりメーカーなので工場で働く人がいる。例えば、日本ゼオンでは、新卒採用者は最初の数年を工場で過ごす。メーカーで働くものとして、工場を一度見ておいてほしいという趣旨である。事実、工場で培った製品知識や人脈は、後々の本社業務で大いに活きてくるそうだ。こういった理由から、初任配属で工場に行く形をとる企業はかなり多い。体感で7割程度である。しかし、おそらく初任配属時は独身であることから、家族に迷惑をかける心配はない。子供を転校させてしまったり、嫁が仕事を変えないといけなかったりということは避けられる。将来的に見れば、そういった転勤を避けることは比較的容易である。事務職は工場よりも本社勤務が多いからである。これらの理由から、絶望的に困る転勤を迫られるケースはあまりない。

〈まったりとした人たち〉
これに関しては相対的な基準であるにもかかわらず、他業界はあまり見ていないため、やや主観的な尺度になってしまうことご容赦いただきたい。
座談会でよく聞かれる質問に「社員の方々はどんな雰囲気の方が多いですか?」という質問がある。ほとんどの化学企業において「真面目で落ち着いた人」という返答がくる。そして、周りを見てみれば納得。みんなのほほんとしていて、落ち着いていて、優しそうである。以前銀行のインターン会場の横を通った時、全員が髪をビチビチにセットしていたのは印象的だった。化学メーカー志望の就活生はノーセットの眠そうな人が多いような印象。こればかりは企業により違う(大陽日酸は体育会系っぽいと聞いたこともある。)。しかし、概して言えば、いわゆる体育会系とは程遠い、ゆるーい感じの人達がそこにはいるはずだ。

〈ほとんど潰れない〉
これは、化学メーカーに限らず、素材メーカー全般に該当する特徴である。

ものづくりの流れは、しばしば川の流れに例えられる。「川上」は、例えば金属を精錬したり、原油を扱ったりするような、ものづくりの原点と言うべき存在。「川中」は、川上から仕入れた製品を加工、整形し、素材に付加価値を付けていったり、素材を組み合わせて部品を作ったりする。「川下」は、いわゆる皆さんが知っているメーカーというものである。カゴメSONY東芝TOYOTAなどだ。恐らく、就活を始めたばかりのあなたは川下メーカーの名前しか知らないはずで、それは当然だ。関わりが無いからである。

さて、化学メーカーはどこに分類されるか…その前に、化学メーカーは「総合化学メーカー」と「機能性化学メーカー」のふたつに分類される。総合化学メーカーに分類される要件として、「ナフサクラッカー」と呼ばれる装置を所有しているかが大きな判断基準となる。このナフサクラッカーとは、鉄で言ったら精錬する装置のように、石油を化学製品に加工していくためのファーストステップにあたる化学反応を起こす装置である。これは大きな初期投資を伴う装置であるため、現在国内では14社しかナフサクラッカーを有していない。比較的大規模なビジネスを展開していると言える。しかし、「汎用化学」とも呼ばれるこの分野は品質による差別化が難しく、物流費や製造コストを切り詰める価格競争に終始することが多い。その場合、規模では国策企業を有する中国などにはどうしても負けてしまう。そのため、総合化学メーカーは汎用品の製造を続けながらも、機能性化学品に力を入れる企業がほとんどだ。そんな総合化学メーカーは、ものづくりの流れにおいては川上にあたる。
一方の機能性化学メーカーは、総合化学メーカーのナフサクラッカーによって産出された様々な化学品を買い取り、さらに加工していく。ここに分類される企業がほとんどである。製品群や市場は多岐に渡り、その分価格競争より品質勝負になってくるケースも多い。総合化学は競合とやり合うイメージで、機能性化学は新たな製品開発に挑むイメージがある。そんな機能性化学は、ものづくりの川中にあたる。
こうして加工された製品が、川下のメーカーを経てみなさんの手元に届くのだ。

さて、なぜ川上、川中にあたる素材メーカーが潰れにくいのか。それは、事業分野が多岐にわたるからだ。
例えば、川下メーカーであるTOYOTAを思い浮かべよう。今や30兆近くの売上を誇るバケモノのような企業だが、あえて大袈裟に、ある日この世の人々が車を使わなくなったらどうだろうか。例えば、政府がマックは健康に悪いから全面禁止にしたら、マクドナルドの経営はどうなるか。恐らく、両社とも潰れるだろう。
一方、素材メーカーはどうだろうか。自動車産業が全滅したら、自動車産業を主力にしていた素材メーカーは計り知れない打撃を受ける。しかし、自動車関連の製品しか作っていないということは極めて稀だ。他にも建築用、医療用、次世代エネルギー用…多岐にわたる分野に手を出していることがほとんど。打撃は受けるが、なんとか持ちこたえることができるのである。
もちろん、いいことばかりではない。原油の価格が極めて重要なので、政治的要因による原油価格の変動は、そのまま何千億という売上の変化に直結する。しかし、相対的に見て安定していると言って差し支えないだろう。


【おわりに】
以上の理由より、化学メーカーについて少し調べてみることをオススメする。また、非鉄金属という業界も比較的似た毛色の業界になるので、併せて要チェック。それでは、また会いましょう。